ピンサロにアカリ 5話「黒服・タカユキ」
「仙台のおみやげデス♡みんな食べてね♡ エミ」
今朝出勤したら、裏の待機所に箱入りのクッキーが置いてあった。
蓋の裏側には極太の油性ペンで書かれたと思しき、エミちゃんからのメッセージ。
そういえばこの一週間見てなかったな、と思い返す。
表のソファ待機所に行くと、一週間前と同じようにエミちゃんがいた。
相変わらず子猫のような風貌で、耳と舌にはピンクのピアスがはまっている。
「エミちゃん、おはよ。後でおみやげもらうね。ありがとう。」
「食べてー!昨日帰ってきたんだけどさ、一週間マジ遊びっぱなしだった!」
「ライブ観に行ってたの?この前言ってた」
「そう!マジ旅!仙台寒かったー!」
とあるヴィジュアル系バンドの追っかけをしているというエミちゃんは、そのバンドのツアーに合わせて旅をすることが多い、らしい。
北は仙台、西は名古屋や大阪が多い、らしい。
エミちゃんからそのバンドの名前を聞いたことがあるけれど、すぐに忘れてしまった。
申し訳なくなる程に。
「風俗嬢と言えば、悲壮感」
「いやいやながらも止むに止まれぬ事情でその仕事を選んでいる」
ナイトワークの裏側を見たことがない人に言わせると、やはりそんなイメージは一般的であるらしい。
だけど私自身からも、エミちゃんからも、そしてこれまで出会ってきた嬢たちからも、それを感じることは多くない。
それはもう、風俗嬢の悲壮感を期待する一般の人に申し訳なさを感じる程、ないのだ。
ただし、寂しさをこじらせたり、処方薬でバランスを取っている人はたくさんいるけれど。
同じ店で働いている嬢たちがどんな流れの末に風俗に行き着いたのか、私はそれすらも知らない。
知らなくても問題がないことだから、わざわざ掘り下げない。
だけど、私はこの仕事をしていてたまに思うことがある。
感じるべき悲壮感というものが、もしもあったとして。
あったとしたら、の話だけど。
それを認識してしまったら、お客さんの前ではもう服の一枚も脱げなくなってしまうような気がするのだ。
エミちゃんの底抜けの明るさを見ていると、ときおり思う。
もしかしたら、私と同じようにエミちゃんも、悲壮感の根っこを見ないように、目を逸らし続けているのではないだろうか。
風俗嬢の悲壮感。
そんなものは、ない。
ないと思いたい、のかも知れない。
出来ることなんて、何もない。
「来月も旅!別のバンドなんだけどさ、新幹線で行くんだよね。」
「リッチだねー。バスより早いし楽だし、新幹線いいよね。」
「マジ楽!けどマジ金やばい!あはー」
私にできるのは、エミちゃんのその底抜けの明るさを尊敬することぐらいだ。
できるのは、というか、私がしたいことは、それしかないのだ。
もしも同じ店にいる誰かがつらい思いを抱いていても、誰も、それを助けることができない。
私も、この店の誰にも助けてもらえないだろう。
それでも、できるだけ笑っていれば、どうにかなりそうな気がするのだ。
文|カサイユウ(ライター・元風俗嬢)
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