ピンサロにアカリ 5話「黒服・タカユキ」
ナイトワークの世界は、おおむね予定調和で動いているような気がする。
お客さんを喜ばせるには、接客の流れを頭の中で計算していなければいけない。
嬢や黒服と雑談をする時には、当たり障りのなさそうな言葉を選んでおけば波風が立たない。
どちらのシーンでも、わざわざイレギュラーな言動を突っ込んで、その流れを乱す必要はない。
お客さんたちの唾液まみれになった身体で、所属店の黒服とデートをするという一連の流れも、また予定調和だったりする。
最終的には、ホテルに泊まりセックスをするだろう。
そんなことはお互いに分かっているのに、どちらもそれをはっきりとは言い出さない。
予定調和はあくまでも予定であって、確定していることではない。
それが現実のものになる時点までは、男と泊まることもセックスをすることも、ただの予定でしかないのだ。
その曖昧さが、私の気分を盛り上げていく。
予定調和の始まり。
メールで指定された場所は、道玄坂をのぼったところにあるカフェ。
私は何食わぬ顔で店を出て、電車に乗り渋谷まで来た。
タカユキさんは店の締め作業を終えてから、タクシーで向かってくる、予定である。
伝えられていた予想時刻に20分ほど遅れて、タカユキさんはやって来た。
「おまたせー。スマンね、これでも急いだんだけど。」
「大丈夫ですよー。おなか空きました。ビール飲みたい。」
「いやー、スマンね。居酒屋だ、居酒屋。」
ここではまだ手をつないだりしない。
せっかくの曖昧な予定が、確定に近づいてしまうから。
予定調和の上で過ごす時間を長引かせ、ギリギリまで楽しむために、まだまだ手をつないだりしてはいけないのだ。
「はっかいさん?」
「日本酒。飲めないの?」
「日本酒って飲んだことない。」
「あらあら、子どもじゃのう。」
「…飲めます。子どもじゃないし。」
「無理しなくてもいいぜー?」
カウンター席では、身体同士の距離を取らなくてはいけない。
手のひらひとつ分ぐらいの間隔を空けたまま、私たちは横並びに座っていた。
ビールを三杯ほど、それと一口の「はっかいさん」を胃に落としたところで、少しだけ眠たくなってきた。
時間の経過に比例して、手のひらひとつ分あったはずの隙間が徐々に消えていく。
あと、ほんの少し。
タカユキさんの左手が、自然に腰に触れた。
「眠くなってきた?」
「うん。今日さ、忙しかったよね。」
「な。お疲れ。頑張ったな。」
このタイミングで頭を撫でてくるなんて、百点満点の反則だ。
「寝るか?」
「うん、寝る。」
幸いにも今日は平日だから、きっと円山町には人が少ないはず。
ただの予定が確定に変わる瞬間まで、あとほんのちょっと。
これだから、予定調和は便利で仕方がない。
口元が緩んでいることを悟られないように、うつむきながら身を預けた。
文|カサイユウ(ライター・元風俗嬢)
マニアックスの読者さんが入り浸る本物のサイト
先月もぶっちぎりで利用されたサイトはPCMAXでした
・登録後2日以内のポイント購入はボーナスがつきます
1位 殿堂入り |
PCMAX(R18) 実績は全国でダントツの最強サイト マニアックスから8754人登録(女性は1200人) |
2位 |
ワクワクメール(R18) 若い女性狙いならここがおすすめ マニアックスから1670人登録 |
3位 UP↑↑ |
マニアックスから1727人登録 |
4位 |
|
5位 |
|
6位 |
マニアックスから964人登録 |
無料ユーザー登録で現金がもらえるよ!!
⇒ 無料ユーザー登録してみる!
当コラムコーナーは、実話もフィクションも入り混じっています。読み物エンターテイメントとしてお楽しみいただく目的で掲載しており、記事の行為を推奨したり、犯罪を助長するものではありません。