今から20年ほど前に栄えた【闇の職業安定所】というサイトをご存じですか?
実際の職安とは無関係で、求人誌などには載せられない求人案件が大量に掲載されていた
掲示板サイトです。
たいして闇でもない普通の求人が出ていることもあれば本当にヤバイヤツが掲載されてい
ることもあり、中にはこのサイトをきっかけにニュースで取り上げられるような大きな事
件に発展したこともあります。
また、おいしい仕事のネタをチラつかせ、紹介料として貧乏人からさらに搾取するような
詐欺案件もたくさんありました。
当時、ギャンブルで負けて借金をしていた私はこのサイトで銀行口座の売買に手を出した
ことがあります。
口座売買は犯罪行為ですし、売買金額に全然見合わないリスクしかないので絶対にマネし
てはいけませんよ。
口座の利用目的
実際に販売した相手に確認したわけではないですが、利用目的としては振り込め詐欺など
の犯罪行為の振込先として利用されます。
振り込め詐欺などは飛ばしケータイや飛ばし口座と呼ばれる使い捨てようのものを使って
行われます。
足がつきにくくなりますし、一度詐欺として使われた口座やケータイは被害届を出された
後に使えなくなってしまいます。
つまり口座売買をするということは振り込め詐欺の協力者になるということですし、実際
の犯罪に自分の名前が使われるということです。
口座を送るだけで即金ゲット
犯罪者の片棒を担ぐ行為ではあるものの、お金に目がくらんで口座売買に飛びついてしま
った人は多いようです。
では目がくらむほどのお金とは一体いくらなんでしょう?
私の時は地方銀行の口座で1万円、都銀で2万円でした。
なぜ地銀と都銀で値段が違うのかはわかりませんが、振込先が都銀の方が騙しやすいのか
もしれませんね。
たったそれだけの金額で?と思うかもしれませんが、なんとしてでも即金欲しい人はこの
金額で簡単に口座を売ってしまいます。
なにしろ口座を新規に作って郵送するだけなので手間もそこまでかかるわけじゃありませ
ん。
普通郵便でありったけの口座を送り、10万以上のお金を稼いだのを覚えています。
じわりじわりと悪事がバレ始める
口座を売ってから最初の連絡がくるまで1か月もかかりませんでした。
まずは銀行から郵送で口座が強制凍結された旨の文書が届きます。
この時点ではそこまで詳しい内容は書かれていませんでした。
口座が不正利用に使われた可能性があるから止めた、というだけの内容です。
私としてはもう自分では使う必要のない口座ですし、凍結だろうが解約だろうが好きにし
てくれという感じであまり気にしてはいませんでした。
しかし、それからしばらくして今度は警察から電話が入りました。
銀行口座に関して聞きたいことがあるから署まできてほしいということでした。
警察はヤバイ!
ですがここで断ったらやましいことがあると認めてしまうようなものです。
突然家に来られなかっただけまだ言い訳を考える時間を与えてもらったと思い、後日警察
署へ向かいました。
苦しい言い訳で逮捕回避!
やはり警察は全ての流れを想像できたうえで私を呼んでいました。
口座を売却するために複数つくり、ネットで誰かに販売してお金を受け取ったのではない
か?
という質問でしたがまさしくその通りなわけです。
口座売却をする時点では犯罪行為にあたるということまでは考えていませんでしたが、す
でにこの時は犯罪ということは調べて知っていました。
逮捕される可能性があることもわかっていたので、ダメ元で事前に考えていた苦しい言い
訳を展開します。
「口座は用途別に貯金をするために複数作りました。でもその口座やカードをまとめて保
管していたカバンをバスの中に置き忘れてしまったんです。また作ればいいやと思ってい
たのですが、まさか犯罪に使われたとは思わなかったです。」
嘘臭さしかない言い訳ですが、バスの中に監視カメラがあるような時代ではなかったので
置き忘れたというのがウソだと証明することはできません。
それでも警察は突っ込んで質問してきます。
「この口座を拾った人はお金を引き出してるみたいだけど、なんで暗証番号までわかった
んだろうね?」
この質問で一瞬青ざめましたが、2秒で悪魔的閃きが浮かびました。
「キャッシュカードを作った時に暗証番号を書いた紙があるんですが、その紙は通帳に挟
まったままにしていたのだと思います。暗証番号は全部の口座同じにしているので1つわ
かればあとのものも全部わかってしまいます。」
結局この苦しい嘘がまかり通り、売却した銀行口座の遺失物届を出し、口座の解約をする
ということで話はまとまりました。
うまく逃れたようですが、これは警察が本気を出して私を捕まえようとは思っていなかっ
たからというだけです。
例えば私の携帯の通信記録を調べれば闇の職業安定所へのアクセス記録が残っているでし
ょうし、口座売買業者とやり取りしたメールや電話の記録も探し当てることができたでしょう。
なぜそこまでしてこなかったのか今となってはわかりませんがとにかく命拾いしたわけで
す。
闇の職業安定所というサイトは現在では閉鎖されています。
ですが、口座売買だけでなく様々な犯罪行為に結び付くお金の稼ぎ方は今でもネットを通
じて探すことができます。
もしそんな闇ルートを見つけたとしても手は出さないことをおすすめします。
危険な行為や犯罪歴で自分を汚したところで、それに見合うだけの金額というのは手に入
りません。
正規の消費者金融で借金でもした方がよほどマシですよ。