元看護師の薫です。
ICUに入院したことがある方はご存じだと思いますが、ICUは基本的に男女混合です。ベッド毎の仕切りはカーテンのみのことが多いですね。
手術室と同フロアにつくられ、窓がないのが一般的です。そのため時間感覚がわからなくなることが多く、患者が一次的に錯乱状態になることも多い部署です。今回はそんなICUでのお話です。
入院患者からの申告
70歳男性の患者Y。手術後しばらく経った患者YをICUへ迎えに行くと
「やっとここから出られる」
と溜息をつきながら言います。ICUに入った患者は大体が
「窓がないから時間もわからない」
「アラーム音がうるさくて眠れない」
というので、患者Yの発言を私はあまり気にしていませんでした。
数日して同僚の看護師Sが
「患者のYさんから聞いたんですけどねー」
と話し始め
「ICUのベッドでドクターとか検査技師とかと、やらしいことをしている患者がいるらしくて...その患者って誰だと思います!?」
の発言に、休憩室は大盛り上がりです。
聞いてみると、その患者は美人看護師Dだというのです。手術のために勤務先に入院したんですね。
クール美人は働き盛りに人気
看護師Dはスリムな身体に黒髪ボブのクールビューティーで、院内でも有名な美人看護師です。その評価と反して患者からは「ニコリともしない能面看護師」としても有名でした。看護師Dは同期の看護師たちも「笑った顔はみたことがない」というくらいです。
同僚の女性看護師たちは
「あの能面看護師Dのどこがいいんですか?」
と聞くと
「よく笑うと思うけど?美人だし」
という返事で、自分たちの前ではよく笑うクールビューティに男性たちはデレデレです。この看護師Dは男性スタッフのなかでも、30代~40代の男性医師や検査技師にとても人気がありました。
カーテンの向こう側
看護師Sが聞いてきた患者Yの話によると...
患者Yは麻酔から覚めてくると周りの音や人の気配も感じられて
「ICUに入院するってこんな感じかー」
とぼんやり思っていたようです。手術のあとはパニックを起こす患者も多いのに、彼は落ち着いてました。
重症患者しか入院しないICUのカーテンは、処置以外の時間は開けられています。隣とのカーテンは仕切っていても、正面は開いているものです。それが昼でも夜でも、隣のカーテンの中はほぼ開いておらず、男性スタッフが入れ替わり立ち替わり入っていくため
「よほどの重症患者がいるのか、気の毒に」
と思っていたようです。
それが、痛みがひどくて眠れない夜に苛立ちに変わります。
となりのベッドでガサガサと布のこすれる音がして気にしていると
「もっとしてよ」
「バレてしまうよ」
という話し声がして男性医師が出てきました。
この時はよくわからなかった患者Yですが、しばらくして違う男性スタッフがカーテン内に入っていくことではっきりします。
「こういうところですることが一番好き」
「そんなことしたら、勃ってしまうよ」
「いいじゃない、誰にもわからないよ」
「気持ちいい?」
「バレてしまうよ」
「どうせみんなわからないよ」
など卑猥な言葉が飛び交っていて、患者Yは
「聞こえてる!わかるっちゅーねん!」
と腹が立ったそうです。
患者Yがさらに驚いたことに、こういったやり取りが毎夜続き、出入りして卑猥なことをしている男性スタッフも5人以上いたのです。
その男性スタッフの中には、自分のレントゲンを撮りに来る検査技師や主治医と一緒に回診に現れる男性医師もいたと言います。
「すごい女だと思ったね!何人の男を手玉にとってるんだ!何人と寝るつもりか!」
と看護師Sに話しながら興奮する患者Y。
カーテンの中から聞こえるいやらしい音に苛立ち、ICUの科長が挨拶に来たときに
「隣のベッドはどういう人なのかな?男のスタッフさんが出たり入ったりして変なこともしているようだし」
と訴えました。
具体的な苦情内容を確認され答えていくうちに、科長の顔がどんどん険しくなり、苦情を言って大丈夫だったかと逆に心配になったようです。
その日、謝罪を受けてICUからやっと開放された患者Y。
「あのあと、隣のベッドはどうなったんだろうね」
と気にする患者Yですが、実はこの患者Yからの訴えを聞いたあと科長が激怒し、ICUでは全スタッフに取り調べが行われ、この看護師Dも一般病棟へ出されました。
明らかになるカーテンの中
この科長の取り調べの時には、複数の看護師が
「自分が点滴を変えにカーテンの中に入ったら、A先生のペニスを看護師Dさんが手で掴んでいたんです。慌てて先生がズボンをしめようとされたんですけど、チャックに引っかかって悲鳴を上げていました」
「あの悲鳴で他の患者も気づいたんですかね」
と話したのです。
新人看護師に至っては
「先輩と隣の患者の処置をしていたときに、声が聞こえました。看護師Dが口でしてあげたいけどできないって言ってました。だから手でしてあげるって。その時は...研修医の先生だったかと思います。」
「あんなに大きな声で話してたら、隣のベッドには聞こえますよね」
と詳細に答え、看護師Dと関係のあるスタッフが明らかにされました。
このズボンにペニスを挟んで悲鳴を上げたA先生は、自分で軟膏を処方し薬剤師に使用理由を聞かれて恥ずかしい思いをしていました。自業自得ですね。
一般病棟の看護師と比べて、ICUや手術室など、医師と過ごす時間が長い部署にいる看護師は男性医師たちと身体の関係になりやすいです。手術室から異動してきた美人看護師は
「外科の先生は看護師とコミュニケーションをとる名目で飲みに行くのもお好き」
と言います。確かに内科の医師よりも、外科の医師の方が肉食系ではありますね。