元看護師の薫です。看護師をしていると緊急コールほど怖いものはありません。その理由は人の命が関わるための緊迫感が一番です。そんな緊急コールはベッドサイドで患者自ら押せるところに設置しているので、勘違いして押してしまう患者も多々います。今回はそんな緊急コールのお話です。
大部屋の入院
入院する時は個室希望か大部屋希望かを選択できます。大部屋に入院すると
「カーテンを閉められて暗い」
「窓際がいい」
などの患者からの訴えも多々あります。大部屋入院では仕方がないことなのですけどね。
大部屋は、盗難被害や平等に光を取り込むために
「カーテンは開けておいてください」
というルールを説明していました。プライバシーの観点から、カーテンを閉める患者さんの方が多かったので看護師の私たちが説明するのもイヤでした。
新型コロナ流行後は、感染防止もかねてカーテンを閉めることで統一されることが多いですね。
そんな大部屋は、男女別にするだけで年齢層は関係ありません。10代であろうと90代であろうと同室にされます。
同室者による緊急コール
緊急コールが病棟中に鳴り響くと、一人の看護師がまずその病室へ走り、あとの看護師たちが持てるだけの緊急カートや機器をガラガラと押して追いかけます。時間との勝負なのでそれこそ全力で動きます。それは夜中でも関係ありません。
ある夜、緊急コールが鳴って、第一陣で走って行くと80代の患者Uが病室の入り口で看護師を待っていました。
「あれ?緊急コール押したのUさん?」
「そうそう」
「どうしました?間違い?」
「いや、隣のベッドで苦しんでいる声がするんだわ。大丈夫かと気になってしばらく様子見てたんだけどおさまらないから、緊急コールした」
という患者Uにお礼を言って、急いで隣ベッドのカーテンを開けると
そこにはペニスを握りしめてシコシコしている患者Tが仰向けになっていました。
「うぉ!?」
と慌ててイヤホンを外す患者T。
下半身を丸出しのままでいる患者Tに、慌てて布団をかけます。
カートなどいろいろなものを押して追いかけてきた看護師に間違いだったと伝え、コールを押した患者Uにも「大丈夫そうだ」と伝え解散しました。
患者Uは
「良かった良かった」
と本当に安心したようだったので、心の中で謝りつつ笑ってしまいそうでした。
オナニー目撃のあと、患者Tは落ち着かなくなってしまったようで
「ちょっと散歩してきます」
と夜中の外来に行きました。
オナニーについて悩む患者
夜勤中の休憩がてら飲み物を買いに行くと、誰もいない外来ロビーで患者Tが座っていたので声をかけると
「えへへ。もう寝れなくなっっちゃって」
と笑う患者T。患者Tとは年齢も近く、話しやすいこともあってよくしゃべりました。
T「オナニーをどうしてもしたい時って、みんなどうしているんだろう」
私「しても、声は出さないんじゃない?」
T「どうやって?」
私「息遣いが荒いから、心配して同室者が呼んでくれたんでしょ」
T「オナニーで息遣い荒いってやばよなー、でも出ちゃうんだよなー」
私「高齢の人が心配してくれるって、どんな息遣いよね」
私「そもそも両耳にイヤホンしてるし危ないんじゃないの?」
T「だって、集中できないし。集中できないと短時間で出せないし」
あーでもないこーでもないと相談する私たち。スマホでどんなAVを見ているのか教えてもらうために、患者Tの股の間に手をつくとウェットの股間がパンッパンになっていました。その視線に患者Tが気づいて笑うので
「真面目に相談に乗っているのに、どうして勃起するかなー」
というと
「間違いなく勃起するね!朝勃ちもするし...あ、みんな朝勃ちってどうやっておさめてるんだ?」
と話が飛びます。入院中のオナニーは彼にとって必須なようです。
私「2週間にも満たない入院予定なのに、どうして我慢できないかなー」
T「無理無理。最低でも3日に1回は抜かないとおかしくなる。そういう奴多いって」
そんなことを話しながらもずっと勃起している股間。
「夜勤の休憩中って看護師さんって、なにしてるの?」
そういって顔を近づけてくる患者Tのパンパンの股間を、人差し指ではじくと
「いた!!」
と言って身体を丸めていました。
さすがにまずかったかと思い
「ごめんなさいね」
と謝りながら、股間をさすりさすりすると
「マジでヤバいって。もうイキそう」
と言って喜んでいました。
「痛くないの?」
といいながら、スウェットの上からパンパンの股間をなでてあげると
「はじかれると痛い。でも看護師さんに触られるとイキそう」
と言いながら、顔を近づけてくるので、もう一度指でパッチンと思い切りはじいてあげました。
休憩終了の時刻になったので
「あとは自由に抜いてくださいねー、夜中の外来トイレは人が来ないからおすすめよ」
と伝えてナースステーションに戻りました。看護師は夜勤休憩時間などを守らないと、お局さまが厳しいですからね。
オナニーできる場所発見
1時間後くらいに患者Tが戻ってきました。
「おかえりなさい」
と近づくと、小声で
「夜中のトイレって教えてもらってよかった。しっかり抜いて元気いっぱい」
と喜んでいました。
数日後の申し送りで
「患者Tが、毎日夜中に外来に散歩に降りているので行動注意してください」
と聞いて
「あー、しっかり毎日抜いてるんだな」
と思った私です。若い男性が夜中にウロウロすると無断外出を疑うこともありますが、オナニーしたい人もいるので気の毒です。どこでなにをしていたか聞かれても答えにくいですよね。
10代、20代の男性もよく入院していますが、若いほど看護師にセクハラや卑猥なことをいう人はいません。今回のケースは優しい同室患者の心配りによって、オナニーを目撃されたことがきっかけでした。男性は定期的なオナニーをすることが必要な人も多いので、入院するほどつらいでしょうね。
YouTubeなどで「入院中の自慰行為をどうするか」と看護師が発信していることがあります。それくらい入院によって自由にオナニーできないことへの不安があるんですね。