「ラクして金を稼ぎたい」
「出来れば、放って置いてもお金が生まれてくる」
そういうモノやコトを考えたことありませんか?
誰しも何度か考えたことがあるでしょう。
私もそのひとり。
フリーランスのプログラマーとして独立したのはいいが、全くと言っていいほど、仕事が取れない毎日。
いくら技術や知識があってもそれがお金にならないことに直面した瞬間だった。
周りから「天才」と言われ、天狗になっていた私の鼻は完全にへし折られた。
収入が得られない日々が数か月続くと、独立を応援してくれていた妻とも不協和音。
収入がないから当然だ。
喧嘩続きの毎日から、私たちは別居を選択した。
月2.5万円の1Kアパートに引っ越し、PC一つで再スタート。
夫婦喧嘩によるストレスが無くなったことは精神的に良かったが、それで仕事が取れるわけではない。
ほぼ無収入の生活が続き、貯金が底を突く日が迫りつつあった。
やはりエロしかない!
どんなに営業しても仕事が取れないし、取れたとしても微々たるもの。
一発逆転とはいかなくても、今の生活をがらりと変えてくれる保証はない。
となると、自分でモノをゼロから作れる能力があるなら、自分で何かを作ればいい。
WebサイトやWebシステムを自分だけの力で作りあげて、ユーザーから月額制でお金をもらえれば、作った後は、多少のメンテナンスだけで、ほぼ放置プレイでお金が入ってくる。
そんな「ラクしてお金を稼げる」仕組みを考えながら、ネットを漁る毎日。
違法性がほぼなく、合法で且つ、利益率のいい業界…
そう、そんな世界と感じたのが、人間の三大欲求の一つ「性欲(エロ)」の世界だ。
男女問わず、常にエロを求めるのが人間。
もちろんそこにはたくさんのお金が存在する。
エロの中でも風俗を選んだ理由
エロといえば、動画サイト。
ただ、動画サイトだと、1人運営ということもあり、メンテナンスなどで色々問題が発生するだろう。
ましてや、金のない個人が大量のアクセスに耐えうる立派なサーバーを用意出来るわけがない。
普通の安めのアダルトOKなレンタルサーバーで運営できそうなものでないと。
エロ画像サイトやエロ画像掲示板は、簡単に作れるし、実装もラクだが、すでに時代遅れ。
そこで白羽の矢を立てたのは「風俗」サイトだ。
調査すればするほど、そこには、大きな金が降ってくる気配しか感じなかった。
そして、自分であれば、風俗サイトを数か月で作り上げることも可能であり、動画を除けば、サーバーのスペックもそこまで必要としない。
イケる!
メジャーな巨大風俗サイトは、当時からすでにいくつも存在していた。
その市場に新規参入することになる。
当時調査した際の平均広告単価は25,000円程度だったと記憶している。
新参者が客を取るなら、市場の平均単価よりも安い金額設定で勝負すべき。
数も欲張らず、全国1万店舗以上存在する店舗の内、5%〜10%の店舗が契約してくれれば、月5,000円でも月250万〜500万円もの売上になる。
これは美味しい!
風俗なんて、片手で数えられる程度しか利用したこともない男が今、この業界で勝負しようと心に決めた瞬間であった。
オーナーにヒアリング
とりあえず、オーナーや店長たちが求めるニーズに応えるサイトにしたいと思った。
開発者目線でベストな機能であっても、ユーザー目線では、必要なかったりするからだ。
そこで、繁華街でバーの店長をしている後輩に風俗店の客がいないか尋ねた。
すると、界隈でそこそこ有名な店のオーナーがよく来ているという。
連絡先も知っているとのことで、早速、紹介してもらうことになった。
数日後、後輩のバーでそのオーナーに会った。
一見すると、風俗店のオーナーとは思えない、ただの初老の男性。
高級な物を身に着けるわけでもなく、ジャージ姿のおじさんだった。
ただ、たくさんの携帯電話を所有し、絶え間なく、様々な携帯電話でメール確認や電話をしていた。
その忙しい作業の合間に話をさせていただくことになった。
「風俗サイトを作ろうと思ってるんです。オーナーさんや店長さんのニーズに応えるサイトにしたいと思ってるんです。力を貸していただけないでしょうか?全くツテがないので。」
すると、オーナーは口を開く。
「あ~…力になりたいけど…多分、君がサイトをやるってことを●●●(反社の組織名)さんに話を通さなきゃいけないと思う。」
ヤンキー未経験な私でも知っている、超有名な組織名を聞き、私は、凍り付いた。
え?マジですか?
と力なく、声を発するしかなかった。
だって、そんな人たちに話に行くなんて怖すぎる!
機嫌を損ねて、山にでも埋められたらどうしよう…
など怖いことしか思いつかないほど、パニックになったことを覚えている。
そして、率直に
終わった…そんなことするなら辞めた方がいい…
心の中でサイト作りを諦めた。
…その時、オーナーが口を開く。
「紹介しようか?本気でやるならだけど。ダメって言われるかもしれないけど。それでもいい?」
私は、恐怖で戸惑いながらも、
それしか道がないんだ…!
そう決意し、オーナーに頭を下げた。
お願いします…!