私が大学時代の話です。少しお金が欲しくて何となく良いアルバイトを探していました。適当にフリーペーパーとか求人サイトを見ると、飲食や清掃員、工場とかベタなものが載っています。
嫌じゃないんだけど時給も最低賃金近くて安いのでどうしたものかと、色々と眺めていました。すると
● メイド喫茶ホールスタッフ募集
● 誰にでもできる簡単なお仕事
● 軽い接客あり
● 時給1500円~(キャッシュバックアリ)
こんな求人を見つけました。
う〜ん。メイド喫茶か〜。時給は悪くないんだけど…
オムライスに❤とか書いて「美味しくな〜れ、萌え萌えキュ~ン❤」とかするんだろうな…
まあまあ面倒くさい人種を相手にするのはだるそうかも…
でも、時給1500円は他のバイトより魅力的だし、ガールズバーみたいにアルコールを飲む必要もないだろうし…
この時給ならエロいお店ではなさそうだし、嫌になら即辞めしたら良いか。そう思い早速電話して面接にいきます。
場所は大阪日本橋のメインストリートから少し裏路地に入った場所にある雑居ビルの3階。同じビルには添い寝リフレや耳かきなど怪しげな文字が書かれた看板があります。
本当に大丈夫なのか?迷ってても仕方ないので、エレベータで3階に降ります。すると、玄関のドアは喫茶店ではなく、普通のビルにある飾り気のないドアがありました。ドアには店名とフリー素材っぽいメイドのイラストが書かれたA4のラミネートした紙が貼りつけられています。
安っぽいな~大丈夫かよ?と少し疑いつつも中へと入ります。
「おかえりなさいませご主人様」
扉を開けると出迎えの声が
私のイメージはこんな店舗でしたが、中に入ると場末感満載のバーカウンターに8席あるだけの狭い店内でした…
オタクっぽい男性客が二人と、店員のメイドさんも二人。アバズレ感はあるが綺麗系の顔をしたお姉さんと、ポッチャリ体型でアニメが好きそうな感じのメイドさんです。
「こんにちは、面接にきたリリアです」
そう言うと、私はアバズレにカウンターの奥の横にある一畳くらいの資材置き場みたいな待機室みたいなスペースに通されました。中にはスウェットを着て金のネックレスを装備したヤカラ風の男。メイド喫茶というより、ウシジマくんとかドンケツの世界線の人物です。
「お待ちしてました。初めまして。店長の沢田(仮名)です」
「よろしくお願いします」
「さっそくだけど、どんな仕事が分かっているよね?」
「まあ…テレビとかで見る分くらいのイメージですが」
「だいたいそう。ウチはそれだけじゃなくて店外デートがある感じ」
店長の説明によると、表向きはメイドが接客する飲食店で、お客さんとデートというか、近所にあるホテルに入って、軽く口でヌクだけの簡単なお仕事です。…と……
いや、いや、軽くヌクって何だよ??
フェラでイカせるならヘルス嬢だろ、どう考えても時給と合わないよね。
そんなはした金でムリだろ?
聞きながらムカついてきたので、露骨に嫌な顔になっていたのでしょう。店長は慌ててフォローに入ります。
ムリなら最初はソフトに手コキから初めてもいいよ…
それに指名と店外デートはバックがあるから…
大きな声では言えないけど、こっそり裏オプで本番して稼いでる子もいるから…
話を聞けば聞くほどダメだこの店…絶対に裏風俗系の怪しいお店だ…
「リリアちゃん可愛いから絶対にメイド服にあうよ!
もうヌキとか良いから、可愛い子が店にいるだけでも評判が良くなるしどうかな?
とっぱらいで本日分の給料払うから、一日だけ!一日だけでいい!体験入店してみようよ
で、頑張れそうならぜんぜん続けてくれたらいいから。ね?ね?」
私の心とは裏腹に店長はグイグイきます。
「本当に普通に働くだけで良いんですか?」
「うん」
「絶対ですからね」
目の前の現金が欲しかった私は、とりあえず一日だけ体験入店して見ることに
さらに奥にある更衣室でメイド服に着替えてカウンターに立つと、すかさず男の客の1人がマジマジと見てきてます。年齢はおおよそ20才過ぎで加藤亮に似た感じの小柄でポッチャリ体型です。彼は無言で手招きして店長を呼ぶと何やらヒソヒソと話しています。
帰ってきた店長は、私を待機室に連れて行くと
「どうしても君とデートしたいんだって、お小遣い弾むから、ちょっとそこのホテルまで行くだけで良いから頼めるかな?」
「ええ~~ムリムリムリムリ!
だってそういうの無しでって言ったとこじゃないですか!」
「うん、でも、秒でお客様が指名するなんて、君の可愛さの証明だよ!絶対に素質があるから、この業界で働いた方がいいよ。
頼むよ、何か行ってきたら適当にあしらって、ちょっと手でシュッシュッってするだけで1万5千あげるから。
君もお金が欲しくてきたわけだし、それでだけで普通の人の日当以上が稼げる話なんて中々ないよ」
押しに弱い私は、ここにいたらそのうち流されて本番もさせられる。絶対にこの話を受けてはいけない。本能が危機を訴えかけてきます。
「絶対にムリですから!」
一刻もこの場から逃げ出したい私は店長にマジギレすると、素早く着替えると逃げるように店舗を後にしました。
今思い返せば、もしあの店でズルズルと働いていれば、流れ流され今頃はソープ嬢かAVデビューでもさせられているんじゃないかと考えてしまう自分がいます。